脂質の基本【基礎ヴィーガン栄養学】

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Kawahara Ai
公開日: 2021/01/02 / 最終更新日: 2023/04/11
脂質の基本【基礎ヴィーガン栄養学】

植物性食品中心のヴィーガン食生活は、動物性食品(肉・魚・乳・卵など)を摂らなくなります。

そうすると、植物性食品である野菜や果物には脂質がほとんど含まれず、火を通さなくても食べられるものが多くなるので、脂質の摂取量が減ってしまいます。

脂質も炭水化物やたんぱく質同様に私たちの体にとって必要不可欠な栄養素。ただし、その脂質の種類はどれでも言い訳ではありません。

そこで、今回は脂質の基本(構造、働きなど)についてお話していきます。

 

 

栄養学監修

河原あい

管理栄養士 / 微生物の研究で博士号(環境系)/ コーネル大学 Plant Based nutrition course 修了/ 現在フリーでwebメディア編集、レシピ制作、フードフォトの撮影などを行う。2020年からベジ生活を開始。

Instagram :@kwhr_ai 

 

目次

  1. 脂質について
  2. 脂質の種類について
  3. 脂質の働き
  4. 脂質は固体と液体がある
  5. まとめ

脂質について

 

 

脂質とは、水に溶けずにエーテルやクロロホルムという有機溶媒に溶ける物質の総称です。

もっと簡単に言うと、「水にとけないで分離するけど、油同士や有機系の液体で混ざり合う物質」のことを指します。

炭水化物やたんぱく質は1gあたり4kcalであるのに対し、脂質は1gあたり9kcal

つまり、高いエネルギー源となって私たちの体内に取り込まれます。

その代わり脂質の摂りすぎは肥満の原因にもなるので注意が必要です。

脂質はその構造から「グリセロール」と「脂肪酸」に分けられます。

 

基本的に食品中の脂質は、グリセロールに「脂肪酸」が3つくっついた状態。

体内に入って代謝される過程で脂肪酸が2つ、1つと分解されて利用されるのです。では、さらに詳しく分類をみていきましょう。

脂質の種類について

 

脂質はその構造によって3種類に分類されます。

①単純脂質

 

 

脂質の基本となる構造をしている脂質で、図のように脂肪酸が3つくっついているものを「トリアシルグリセロール」といいます(トリ:3、アシル:脂肪酸、グリセロール)。

生き物の体に蓄えられる中性脂肪や、食用油(サラダ油、オリーブオイルなど)がこれにあたります。

②複合脂質

 

 

単純脂質のような構造をしつつ、一部に糖やリン酸が結合した脂質を複合脂質といいます。

また糖が結合しているものは糖脂質、リン酸が結合しているものをリン脂質となっています。

これらは体内で重要な役割を担っています。

なぜ、脂質にリンや糖質が結合するのかというと、油でありながら親水性(水に溶ける性質)をもつ必要があるため。

冒頭にも示したとおり、油は水に溶けません。

そこで、糖質やリン酸を結合させることで水に溶けやすくなる性質を獲得するのです。

③誘導脂質

 

 

単純脂質や誘導脂質が体内で分解(誘導)されることで生じるもので、脂肪酸はもちろんコレステロールやステロイドと呼ばれる物質がこれにあたります。

単純脂質や誘導脂質のような構造は体の中で利用するには大きすぎるため、それぞれのパーツであるグリセロールと脂肪酸に分解する必要があります。

脂質の働き

脂質の主な働きについてお話します。

①体の細胞膜を構成する

 

 

私たちの体を構成しているのは細胞であり、細胞の周りを包んでいる細胞膜は脂質でできています。

体の60%は水分であり、もちろん細胞膜の外側も内側も水分。

そこで、親水性と疎水性両方を兼ねそろえている「誘導脂質」がこの役割をになっています。

誘導脂質である「リン脂質」がメインとして細胞膜の役割をになっているので、その構造を「リン脂質二重層」と呼んでいます。

②体脂肪となる

 

 

炭水化物やたんぱく質と違い、1gあたり9kcalもある脂質。

そこで、エネルギー源として消費されなかった分の脂質は中性脂肪、いわゆる体脂肪として体に蓄積され、必要な時に分解されてエネルギーとして利用されます。

体脂肪として蓄積されたあとは、私たちの内臓を守るために主に肋骨まわりからお腹にかけてバリアを作ります。体脂肪は全く無いと問題であり、ある程度必要なパーツなのです。

③ホルモンの合成

 

 

外の環境や体内の変化に適応するために分泌されるホルモン。たんぱく質から作られるものと脂質から作られるものと、2種類に分類されます。

その中でも脂質由来のホルモンはステロイドホルモンと呼ばれ、性ホルモン(女性ホルモン、男性ホルモン)などの分泌に関与しています。これらの主な材料として、コレステロールが使われます。

脂質を全く摂取しなくなると、月経不順や髪の毛、肌のツヤを失う可能性があるので要注意です。

④栄養素の吸収率アップ

 

 

脂溶性のビタミン(ビタミンA・D・E・K)などは、油と一緒に調理することで体内での吸収率がアップします。これは油と油同士では混ざり合うため、良いとされています。

生で食べるのではなく油と炒めたり、脂質含有量の高い食品と一緒に食べるようにしましょう。

脂質は固体と液体がある

 

 

例えばバターやマーガリンといった動物性の油は、常温で固体の状態で存在しています。

一方で、オリーブオイルやエゴマ油といった植物性の油は常温で液体であり、冬でも部屋の中で固まることはありません。

これは、構造の中の「脂肪酸」に違いがあるため。

脂肪酸についてはこちら!

 

ちなみに、常温で固体の状態で存在している脂質のことを「脂」、常温で液体の状態で存在している脂質のことを「油」、二つ合わせて油脂(ゆし)と表現します。基本的にヴィーガンの方が食事で摂取する脂質は「油」となります。

まとめ

 

今回は脂質の基本的な構造と種類、働きについて解説しました。

構造はなかなか目に見えるものではないのでイメージがつきにくいかもしれないですが、どんな脂質を含む食材を選ぶべきか、という視点では非常に大切になってくるのでぜひ、理解して欲しいところです。

次回の記事では、脂質の構造の中でも脂質の質を決める「脂肪酸」について、そしておすすめの食材についても紹介しています。

脂肪酸の基本【基礎ヴィーガン栄養学】

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Kawahara Ai
ヴィーガン歴2年の管理栄養士で環境系の博士号取得(2022年)| コーネル大学e-learning Plant-based nutrition修了

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